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HPH健康づくり講座|免疫力を高める食事

千鳥橋病院のHPH情報センターでは平日の11:30から健康づくり講座を毎日行っています。今回は、当院栄養部の管理栄養士が「免疫力を高める食事」について講座を行いました。

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免疫とは、生命の維持に必要な身体を守る防御反応のことです。普段、私たちは、様々な細菌やウイルスが周囲にいる状態で生活しています。しかし、免疫の働きのおかげで元気に過ごすことができているのです。

この免疫力が低下すると、疲れを感じやすくなったり、下痢を起こしたり、風邪を引いたりします。皮膚炎・口内炎・口唇ヘルペス・帯状疱疹・結核などになりやすくもなります。このように身体の中に潜んでいる病原菌が、免疫力の低下で活発に活動できるようになるために発症するものもあるのです。冬はインフルエンザやノロウイルスなど、怖い病原菌が猛威を振るう時期です。これらの病原菌から身体を守るため、持ち前の免疫力を有効活用するための方法です。

1. きちんと食べる。 

2. 潤す。

3. やすらぐ。

今日は、この中の「食べる」に着目して、おすすめの食事についてご紹介します。ただし、「これさえ食べれば免疫力は完璧!」というような食材は存在しません。免疫力を高める食事の基本は、いろいろな食材をバランスよくとることです。この基本がとても大切です。そのうえで、免疫力を高める食材を積極的に取り入れましょう。

良質の蛋白質

私たちの粘膜、皮膚、免疫細胞も、全て蛋白質からできています。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などの良質の蛋白質は、免疫力の土台を支える栄養素です。これらが不足すると免疫細胞まで減少し、抵抗力が落ちてしまいます。

ねばねば成分(ムチンなど)は、粘膜を保護し丈夫にすることで、風邪などの感染症にかかりにくくします。このねばねば成分は、皮膚や喉、鼻、目などの粘膜を潤すすぐれた効果もあります。意外かもしれませんが、腸は自分の免疫システムを持っており、身体を様々な病原菌やウイルスから守っています。

腸内環境を改善することで、この免疫力を高めることができます。腸内環境が良ければ、免疫機能が活性化され、免疫機能が高まれば、腸内の善玉菌を増加させることができます。腸内環境と免疫系には相関関係が成り立っているのです。

ここで、腸内環境をととのえるために有効な食材をご紹介していきます。

 

プロバイオティクス

健康食品などでよく見かける「プロバイオティクス」とは、「人体に良い影響を与える微生物」であり、この善玉菌を指しています。ヨーグルトや納豆、キムチ、チーズ、甘酒などの発酵食品には、善玉菌である乳酸菌(納豆菌も、植物性乳酸菌)が豊富に含まれており、食物繊維やオリゴ糖は善玉菌の栄養源になります。プロバイオティクスのような有用な菌を増やし、腸内環境の改善を促進する物質で「プレバイオティクス」とも呼ばれます。

不溶性の食物繊維も、便の量を増やし腸を刺激するといった、腸への良い影響もありますが、水溶性の食物繊維には、大腸で分解されて善玉菌の餌となり、また、便を柔らかくして便秘を解消する働きがあります。オリゴ糖も善玉菌の餌になります。これらの野菜や果物、海藻類にはビタミンやミネラルも豊富で、これらの栄養素も免疫力を強化してくれます。要するに、免疫力強化のためには「野菜をたっぷり食べる習慣」が大切です。

 

ビタミンA

目や皮膚、粘膜の分泌能を高めて、風邪などの感染症に対する抵抗力をUPします。動物性の食品では、うなぎ、レバー、バター、チーズなどに多く含まれます。

植物性の食品に含まれているのは、身体の中に入ってから、ビタミンAの形に変えられるβカロテン、αカロテン、クリプトキサンチンなどです。これらはプロビタミンAと呼ばれます。色の濃い緑黄色野菜、温州みかんなどに豊富です。

 

ビタミンC

粘膜保護に重要なビタミンです。不足すると、歯茎から血が出やすくなったりもします。

また、ビタミンCは、人がストレスを跳ね返すためのメカニズムにも関わっているなど、非常に多くの作用を持っています。ただ、ビタミンCは水に流れやすく、加熱などで変化にしやすいため調理時に失われてしまいがちです。過剰摂取の心配も無いビタミンですが、逆に身体にためておくこともできないので、毎日摂取することが大切です。野菜や果物に多く含まれています。柿やじゃがいもにも結構多く含まれてるのは、ちょっと意外かもしれません。また、ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用を長持ちさせる働きもあります。

 

ビタミンE

強い抗酸化力を持つ、若返りのビタミンともいえます。血流を促進したり、ホルモンバランスを調整したり、細胞の老化を防ぐのに役立ちます。植物油、特にひまわり油(サフラワー油)、グレープシードオイル、アーモンド・落花生などのナッツ類、アボカド、すじこなどに豊富に含まれています。しかし、これらの食品は総じて高カロリーです。油はどんな種類でも大さじ1杯で約120kcalです。くれぐれも、摂り過ぎには注意して適量を摂りましょう。

 

ポリフェノール

植物の樹皮や表皮、種子などに多く含まれる色素成分や苦味、渋み成分などです。そもそもこれらは、植物が外部からの攻撃や生命活動の中で生じる活性酸素の害から、自身の身を守るための生体防御物質です。これらは、私たち人間の体内でも、抗酸化作用を発揮してくれます。黒豆や豆腐、玉ねぎ、ごま、緑茶などに豊富です。

 

栄養素は、蛋白質・ビタミン・ミネラルなどの様々な種類を組み合わせることによって効力が高まります。野菜やきのこと蛋白質と一度にとることができる鍋料理がおすすめです。身体を温め、水分補給にも有効です。

この季節におすすめのメニュー

〇キムチ鍋 

おすすめの具材:タラや鶏肉、豆腐などの良質の蛋白質、腸内環境をととのえる食材として紹介したキムチ、ビタミンや食物繊維を豊富に含む、ニラ・ネギ、きのこ類などがあります。

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〇鮭とブロッコリーのシチュー

寒い冬に食べたくなるシチューには、βカロテンやビタミンCが豊富なブロッコリーを入れると良いでしょう。鮭は良質の蛋白質源であり、アスタキサンチンという抗酸化力を持つ成分も含まれています。牛乳の他、豆乳を使ったりしてもおいしいです。

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〇みぞれ汁 

なめこや大根を入れたみぞれ汁もおすすめです。豆腐や鶏肉のささみなどを入れてもよいでしょう。おろし大根やなめこで、汁にとろみがつくので、冷めにくくなり身体が温まります。

 

〇白和え 

寒くなるとおいしくなってくるほうれん草ですが、時には胡麻和えではなく、ビタミンEが豊富なアーモンド和えなどもいかがでしょうか?アーモンドを粗く砕いてすり鉢ですり、少量のお醤油やみりんといっしょにほうれん草を和えると、風味の良い和え物ができます。アーモンドスライスやアーモンドダイスを使うともっと簡単ですし、クルミ和えなどもおいしいです。

白和えにひじきやホウレンソウ、人参、こんにゃくなどを入れると、食物繊維やビタミンが豊富に補給できます。

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☆免疫力UPのためには・・・

様々な食べ物をバランス良くとる!+免疫力UP効果を持つ食べ物を積極的にとりいれる!

適量をバランスよく、様々な食べ物からとりいれて、寒い季節を元気に乗り切りましょう。