2025年原水爆禁止世界大会に参加しました
2025年8月4日~9日まで福岡医療団の各職場から合計38名の職員が広島市・長崎市で開催された※原水爆禁止世界大会に3チームに分かれて参加しました。
(※人間の尊厳を踏みにじる核兵器の非人道性、被爆者の声、被爆の実相を世界に届け、「核兵器のない世界」を求める世論と運動をひろげ、市民社会と諸国政府の共同を大きく発展させるため、 被爆地から市民社会の「真の声」を発信する大会です)
私は入職14年目になる事務職員ですが、今回初めて原水爆禁止世界大会in広島に参加させていただきました。医師・看護師・作業療法士・介護福祉士・社会福祉士・事務からなる11名のメンバーで広島の戦跡を巡り、原爆資料館の見学や平和記念式典の参加など一泊二日の間で多くのことを学ばせていただきました。

1日目は似島(にのしま)という広島湾に浮かぶ島でフィールドワークをおこないました。似島は、明治時代、検疫所として日清戦争後の帰還兵の健康管理や感染症の防止に使われ、さらに日露戦争では第二検疫所として設置され、軍事的に重要な役割を果たしてきました。

検疫所として医薬品や医療機器があったため、原爆投下後には野戦病院として1万人を超える負傷者が搬送されました。多くの方が命を落としましたが、島民総出で救護にあたり、一人の命もおろそかにせぬよう献身的に立ち動いたそうです。爆心地から8キロ離れた島でこのような歴史があることに驚きましたし、原爆の脅威と悲惨さを感じました。

2日目は平和記念式典に参加しました。今年の平和記念式典は、原爆投下から80年という節目であり、多くの被爆者や市民が参加し、原爆死没者の慰霊と恒久平和を祈る目的で、広島平和記念公園で執り行われました。広島市長の平和宣言やこども代表からの平和への誓いなどがあるなかで、広島県知事のあいさつが最も印象に残りました。核抑止を「フィクション」と断じ、「自信過剰な指導者」らによって破られる危機があることを警告したうえで、核兵器廃絶に向けて決して諦めない強い意志を聞いて、私も署名活動や被曝の実相を学び伝えることなど小さなできることを続けていこうと思いました。

原水爆禁止世界大会では、核兵器禁止条約の履行を求めるとともに、核兵器廃絶に向けた国際的な共同と連帯を強化する場で、海外代表を含む広範な人々が参加しました。田中聰司日本被団協代表理事のあいさつなどがあり、連帯あいさつでは梶田隆章前日本学術会議会長からメッセージが寄せられました。最後に広島決議(案)「広島からの呼びかけ」が提案、採択されました。多くの団体が核兵器廃絶に向けて取り組まれていることを知り、とても元気をもらえる大会でした。

一泊二日を通して、原爆がいかに非人道的でおそろしいものか、戦跡を巡り自分の目で見るとより強く感じました。戦争や被曝の実相を知ることは目を背けたくなるし、辛いことですが、80年前に本当に起きた事実を風化させてはいけないと思いました。戦争や平和について学ぶこと、伝えることを今を生きるものとして、やっていきたいです。
