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お薬カンファレンス~地域包括ケア病棟の取り組み紹介~

千鳥橋病院地域包括ケア病棟ではお薬カンファレンスを定期的に開催しています。本日はその取り組みの紹介を行いたいと思います。

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(お薬カンファレンスの様子)

「薬がたくさんで困っている。本当に必要なのか。何か減らせないか?」「毎食前といわれてもついつい飲み忘れて家に薬が余っているよ」という方はいらっしゃいませんか?

 

診療所や病院では各診療科の担当の医師が、その時に必要だと思われる薬を処方しています。しかし、多くの科を受診する間に薬の数が山のように増えてしまっていたり、似たような薬が重複していたりすることがあります。その都度調整ができればよいのですが、医師は忙しい外来の中で一人一人の患者さんの内服薬を全体的に把握することが難しくなり、処方を見直すチャンスがなくそのままになっていることがあります。多剤内服は、相互作用のため薬の効果が弱くなったり逆に強く出てしまったりして、大出血や意識レベルの低下、転倒や認知症の悪化の原因になったりもします。また、患者さんは薬の用法がさまざまなためうまく薬を飲めなかったり、薬が余っていることを主治医に伝えることができなかったりして、結果としてお家にたくさんの使わない薬を抱えてしまうこともあります。これではせっかくのお薬が患者さんの役に立てなくなってしまっています。

お薬の中にはどうしても中止できないものもありますが、中止や減量しても支障がないものや、内服のタイミングを変えても良い薬もたくさんあります。

 

入院期間中は薬がきちんとのめているか、また薬を減らしたことで問題が起きていないかを確認することができるため、薬剤を調整するにはちょうど良い機会です。

地域包括ケア病棟は、患者さんが家に帰ることを支援する病棟です。薬に関しては、療養病棟である時から病棟看護師さんが介入し、きちんと服薬管理ができているかの評価を行ってきました。また、地域包括ケア病棟になってからは、毎週、医師と薬剤師が集まり病棟患者さんのお薬について話し合いを行っています。薬剤師さんが気になる患者さんについてピックアップしてもらいそれを議論をしています。

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(有馬医師と西村薬剤師)

①多剤内服(ポリファーマシーといいます)になっている方の薬をへらせないか ②血中濃度が必要な方の薬物血中濃度などのフォローアップ ③過鎮静や食欲不振・意欲減退など薬剤の副作用がないかの確認 ④退院後も内服が継続しやすいような用法の変更などを行っています。

例えば、以下のようなことをしてきました。

・3種類も4種類も同じような薬が重なっており胃薬を1剤にまとめた。

・鎮痛剤の副作用は胃潰瘍や腎障害・高血圧です。すでに腰痛が治まっている方に鎮痛薬がずっと処方されており、痛み止めを中止。

・眠剤や安定剤・アレルギーの薬などは夜間転倒・骨折の原因になります。処方の必要性を確認し減薬もしくは中止。

・降圧薬の効果が強く、血圧が下がりふらつきの原因となっていたので減量。

・漢方薬は必ずしも食前でなくてもよい薬です。服薬管理が難しいため、食後に用法を変更。

・風邪薬が症状もなく漫然と出ているため中止。

 

地域包括ケア病棟では、引き続きお薬カンファレンスを行い、入院患者さんが家や施設に戻っても入院の時と同じように薬の効果が得られるよう配慮していきたいと思います。

 

お薬はさまざまな症状を緩和し、慢性疾患の増悪や合併症を予防するために大事なものです。必要な薬がきちんと飲めていることが一番大切です。飲みにくかったり、薬が余っている場合には気軽に主治医や薬剤師への相談をお願いします。