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第20回 国際HPH(Health Promoting Hosptitalss) カンファレンスに参加します。

第20回 国際HPHカンファレンスの概要

今年のテーマは、”Health promoting healthcare in a changing world: Innovation service provision, healthcare management and health system design,” (変わりゆく世界の健康増進医療ケアサービスの提供、ケアマネジメン卜と保健システム設計の革新)だ。その上に、世界のヘルスプロモーションの役割の変化を強調する。

国際カンファレンスの概要(現地実行委員会のホームページより)
目的
(1)変貌する世界の岐路に立つヘルスケア
(2)HPHに関連する介入のエビデンス
(3)ヘルスサービスで公衆衛生上の課題を強化する
(4)HPHが、より一層貢献するためにどのような能力が必要?
(5)ヘルスプロモーションの達成に向けたヘルスサービスの方向転換の20年と今後の展望

目的

第20回HPH国際カンファレンスは、少なくとも2つの意味で特別なものとなるだろう。第一に、開催地が台湾の台北市で、ヨーロッパ以外で開催される初めてのHPHカンファレンスとなる。
そのことにより、各国で活発に活動しているHPHネットワークのグローバル化を示す画期的な進歩となるだろう。
第二に、HPHカンファレンスは20回を重ねたので、HPHが当初目指したもの、ネットワークが今までに到達したもの、そして、今後に横たわる課題と変化させるべき内容について振り返る時期を迎えた。
こうした背景に対して、科学委員会は第20回HPH国際カンファレンスのプログラムで5つの主要なトピックスに焦点を当てることを決定した。

(1)変貌する世界の岐路に立つヘルスケア:
ヘルスケアの提供とヘルスプロモーション、ヘルスシステム設計に対する新たな要求

地球規模の変化のスピードは、ますます加速し、あらゆる分野で多大な課題を生じさせ、一部には世界規模の疾病負担にかなりの影響を与えることで、人々や国民国家、地球の前に立ちはだかっている。感染症の再来を含む気候変動関連疾患の増加、安全な飲料水や栄養などの乏しい資源の獲得競争は激しさを増し、その結果、衝突、戦争や他の人道的災害のリスクが増大している。不健康な生活習慣や高齢化により非伝染性疾患(NCD)、特に心疾患、癌、呼吸器疾患、代謝疾患、精神疾患が増加している。そして、健康の社会経済的決定要因が地球規模で拡大する健康格差に非常に大きな影響を及ぼしていることを示すエビデンスが増加している。我々は、これらの課題から生じる差し迫った要求に健康政策とヘルスシステム、ヘルスサービスどのように適応させればよいのか?

(2)HPHに関連する介入のエビデンス:
すでに何がわかっていて、今後はどんな研究が必要なのか?

ヘルスケアがヘルスプロモーションの介入を働きかけるためにはエビデンスを示すことが求められている。ヘルスケア以外のヘルスプロモーションは様々な種類のエビデンスを活用し議論するが、HPHは臨床のエビデンスの考えに強く支配されている。この方向性は個人を対象とした介入には都合がよいが、組織や地域、システムに対する介入を疎かにする可能性がある。カンファレンスでは、以下の内容を含む包括的なHPHのアプローチのエビデンスに関する研究のためのアプローチ、方法、指標と必要性が議論される。

●効果、患者中心、患者に対する介入の効率に関するエビデンス
●職場におけるヘルスプロモーションのエビデンス
●健康政策、ヘルスシステム、場面や組織に対する介入のエビデンス
●地域に対する介入のエビデンス
●環境にやさしいヘルスサービスを援助するための介入のエビデンス

(3)ヘルスサービスで公衆衛生上の課題を強化

ヘルスサービスは、依然として基本的には急性期の健康ニーズに応えるように作られている。しかしながら、社会的、経済的、人口学的変化のために、ヘルスサービスは今日の公衆衛生のニーズに合うように次第にその方向性を変化させることが迫られている。カンファレンスでは、HPHが貢献できる可能性がある下記の課題に特に焦点となる。

●高齢集団への支援
●身体的、心理的非伝染性疾患への取り組み
●移民や社会経済的に恵まれない人口集団を含む、増加する困難な人たちに対する取り組み
●女性と子ども

(4)HPHが、より一層貢献するためにどのような能力が必要?

ヘルスプロモーションにおける潜在能力アプローチによって、ヘルスサービスの方向転換を図り持続させるには個人から組織、地域、システム、そして政策に至るまでの各レベルで必要な数多くの不可欠の前提条件や資源があることが明らかになる。カンファレンスでは、どの潜在能力が差を造り出し、潜在能力はどのようにつくられるのかが議論される。

●健康政策とヘルスシステム:資金計画や支払いデザイン、法的機能を含んでヘルスプロモーションのための国や地域のどのような潜在能力が差を生じさせるのか。
●地域:HPHに対する地域の認識や公共の需要はどのように作られ維持されるのか。
●HPHのための組織の潜在能力:首尾よく実践するにはHPHはどのような組織構造と資源を必要とするのか。
●ネットワークの潜在能力:ネットワークはHPHの潜在能力の確立のためにどのような支援ができるのか。

(5)ヘルスプロモーションの達成に向けたヘルスサービスの方向転換の20年と今後の展望

5つの活動領域の1つとしてヘルスサービスの方向転換を定式化したWHOのオタワ憲章(1986年)の制定後、1988年にHPHの概念開発が開始されました。1990年には公式にHPH国際ネットワークが結成された。
HPHは歴史的にはパイロット病院プロジェクト、国際ネットワークの開始、国・地域ネットワークの発展、国際支援センターとタスクフォースの設置、ツールの開発、ヨーロッパから世界ネットワークへの拡大をたどってきた。
カンファレンスは、アジアとアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカにおけるHPHの到達と将来計画を反映したものとなるだろう。