第21回 国際HPHカンファレンス 開催要項
2)カンファレンス 2013 年 5 月 22~24 日
ねらいと目的
2013年5月に開催される第21回HPH国際カンファレンスのプログラムの作成にあたり、科学委員会はヘルスサービスをより健康志向に発展させるためのツールとアプローチに焦点を当てることをきめた。そうした理由は以下の2つの理由によるものである。
第一に、今回のカンファレンスはヨーロッパでのHPHのパイロット事業(EPHP)の20周年記念となるからである。このプロジェクトは、オタワ憲章が提起したヘルスサービスの方向転換を病院の活動に具体化するために1993年に開始された。この中で、ポジティブ・ヘルスや心と体に関心を向ける包括的な健康志向の取り組みとヘルスサービスが、公衆衛生により強く貢献するために大変な努力がはらわれた。さらに、今日の非感染性疾患(NCD)の増大、健康の不健康の拡大、気候変動などの新たな健康への脅威を考えると、今まで以上にヘルスサービスの方向転換が強く求められている。この必要性は、人を中心とするヘルスシステムと公衆衛生サービスの強化を求めるHealth2020♯1(WHO欧州事務局の新健康政策)に反映されている。
第二に、1995年以降スウェーデンのネットワークが主催する2回目の国際カンファレンスとなることである。2013年カンファレンスでは、健康状態の改善(Health gain)の測定と関連するトピックスについても十分な議論をする。国際的にもトップの講演者、専門家、経験豊かなHPHの実践家が集まり以下のトピックスについて議論する。
Health2020 は、WHO 欧州事務局が作成した欧州の新しい健康政策の枠組みである。その目的は人々の健康とウェルビーイングを改善し、健康格差を減らし、公衆衛生を強化し、人中心のユニバーサルで公正で持続可能で質の高いヘルスシステムを確立するために、政府と社会を超えて活動を支援することである。
WHOのHealth2020戦略に対して、HPHは何を貢献できるだろう?
Health2020戦略では、WHO欧州事務局は公衆衛生に向けた方向転換を強く求めている。カンファレンスでは、HPHが貢献できる可能性について探求する。
心理・神経・免疫学の新たな知見とヘルスケアへの影響
HPHは健康を包括的にとらえている。こうしたとらえ方のために、健康を身体的、心理的、社会的に深く理解することができている。治療の改善のために得られた心理・神経・免疫学領域の研究の最新の成果から、私たちは何を学ぶことができるのだろうか。
エンパワーメントに焦点を当てる
今日、エンパーワーメントを支援しコーピングを行うことや支援的な環境は患者の自覚的な健康だけでなく疾病の予後や死亡率を改善することが数多くのエビデンスにより明らかにされている。患者のエンパワーメントを高めるために、ヘルサービスをどのように改善すればいいのだろうか。また、サービス提供者はエンパワーメントのためにどのようにすれば必要な能力を持つことができるだろうか?
患者やスタッフの健康とウェルビーイングに関して、病院のデザインや環境が及ぼす影響について何が知られているのだろうか?
健康に対する文化やデザインの影響を明らかにしたエビデンスが増加している。病院やヘルスサービスを癒しの場へと発展させるには、こうしたエビデンスをどのように活用すればいいのだろうか?良好事例はあるだろうか?
ヘルスシステムとヘルサービスの利用によって、どのように健康志向型のヘルスサービスを支援できるのだろうか?
ヘルスケアで提供されるサービスは、そのストラクチャー(構造)と基本的価値と実践や管理システムと利用システムによって大きく影響を受ける。ヘルスケアにおける管理システムとヘルスサービスの利用によって、患者の視点と包括的なHPHのアプローチをどのように支援すればいいのだろうか?