TQM

TQM&医療介護活動交流集会は、医療・介護現場にとって大切な、 「医療安全」「クリ二カルパス(入院治療計画書)」「感染対策」「NST」 「褥瘡」など目に見えにくい取り組みの、トータル(T)クオリティ (Q)マネージメント(M)の総合的な品質の管理です。各分野で委員会やチームをつくり、医療の質を向上させていく活動です。 この活動を毎年振り返り、実践を共有しています。

TQM委員長 久保 和彦
TQM委員長
久保 和彦

第20回 TQM & 医療介護活動交流集会

理念への原点回帰・患者に寄り添う質の高い医療・介護を目指して

各職場やチームでの取り組みをポスターにまとめて発表し、投票にて最優秀賞を決めました。今回最優秀賞・優秀賞に選ばれた発表をご紹介します。

最優秀賞
チーム名:リプレンジャーズ

活動テーマ

FreeStyleリブレを使用している患者の満足度調査とスタッフ体験からの学び

当院では、糖尿病治療を受けている患者さんの血糖管理を支援するため、持続血糖測定器「FreeStyleリブレ」を導入しています。従来は専用リーダーで測定データを読み取り、検査室で出力する必要があり、診察前に待ち時間が生じることが課題でした。
そこで、スマートフォン用アプリ「FreeStyleリブレLink(以下、リブレLink)」の導入促進に取り組みました。リブレLinkはスマートフォンで血糖値を確認でき、クラウドを通じて医療機関とデータ共有が可能となるため、利便性の向上が期待されます。

患者アンケートの実施

当院外来でリブレを使用中の患者さん28名のうち、同意を得た24名にアンケートを実施しました。
初回調査では、リブレLinkを「知っている」と回答した方は54%にとどまりましたが、導入を希望された方に対し、看護師が設定支援を行いました。
導入後の調査(27名回答)では、74%が「スマートフォンの方が使いやすい」と回答。「外出先でも確認できて便利」などの声が多く、約半数でスキャン回数の増加がみられました。また、食事や運動への意識が高まったという回答もあり、自己管理への前向きな変化が確認されました。

スタッフによる体験

代謝科の看護師9名が実際にリブレを装着し、使用体験を行いました。「食事内容を意識するようになった」「血糖変動を実感できた」といった学びがある一方で、「装着部位の違和感」などの課題も体験しました。
この経験により、患者さんの不安や困りごとをより具体的に理解でき、実体験を交えたご説明につながっています。

今後に向けて

看護師がアプリ設定まで支援することで、多くの患者さんがスムーズに移行できました。また、クラウド管理により診察前のデータ確認が可能となり、待ち時間の短縮にもつながっています。
今後は、スマートフォン操作に不安のある方へのサポート体制や操作ガイドの充実、定期的なフォローアップを進め、患者さんの自己効力感と満足度の向上をめざします。
当院では今後も、質の高い自己管理支援を提供できる環境づくりに取り組んでまいります。

優秀賞
チーム名:リプレンジャーズ

活動テーマ

無料低額診療事業をより多くの人に広め、誰もが安心して医療に繋がれるよう事業の理解・拡大を進めていく。

昨年度は、無低を利用されている患者さんの生活状況について事例報告を行い、社会情勢の変化に伴い支援を必要とする方が増加している現状を共有しました。今年度は、院内における無低事業の理解や周知状況を把握し、今後の取り組みをさらに推進することを目的として、職員アンケートを実施しました。

主なアンケート調査結果

  • 無低について知っている:91.5%
  • 患者さんの経済的不安に気づいたことがある:84.9%
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)へつないだ、または無低を案内したことがある:73.6%
  • 「生活保護基準」の額を具体的にイメージできる:23.4%

無低そのものの認知度は高い一方で、「生活保護基準」について具体的に理解している職員は約2割にとどまりました。
自由記載では105件の意見・感想が寄せられ、特に多かったのは、対象者や基準、判断方法に関する質問(36件)でした。そのほか、制度の仕組みや財源、生活保護制度との違い、患者さんへの声かけの難しさなど、制度理解をより深めたいという声が多く挙がりました。

無低基準と社会的背景

当院では、一定の所得基準をもとに無低の適用を判断しています。しかし、その基準に該当する方々の生活は、決して余裕のあるものではありません。日々の支出に制限がかかり、さまざまな選択肢を狭めざるを得ない状況に置かれている方も少なくありません。
現在の生活保護基準については、基準引き下げの適否が司法の場で争われ、最高裁判決において違法と判断された経緯があります。一方で、物価高騰が続く中、生活実態は依然として厳しい状況にあるとの指摘もあります。
そのような状況にもかかわらず、本来であれば支援につながる可能性のある方が、制度を知らない、あるいは申請に不安を抱えるなどの理由で、医療費不安を抱えたまま受診されている現実があります。生活保護制度についても、誤解や偏見などの影響から、必要な方のすべてが利用に至っているとは言えない状況があるとされています。

今後に向けて

アンケートでは、「無低は当院の患者さんにとって必要不可欠な事業である」「さらに学び、理解を深めたい」といった前向きな意見が多く寄せられました。
「生活保護基準」を知ることは、患者さんの生活背景をより具体的にイメージし、必要な支援へ確実につなげるための重要な視点となります。
千鳥橋病院では、患者さん一人ひとりの生活に思いを寄せ、院内全体で支援を必要とする方を取りこぼさない体制づくりを進めてまいります。医療ソーシャルワーカーを中心に、制度理解の向上と周知の強化に取り組み、経済的不安を抱える方が安心して医療を受けられる地域づくりに引き続き努めてまいります。