外来の方はこちら 千代診療所 092-651-0726
千鳥橋病院 092-641-2761

人間らしく働くための九州セミナーin宮崎に参加しました。

11月18日(土)、19日(日)に宮崎市で第33回人間らしく働くための九州セミナーが開催されました。
今回のテーマは「性差別と人間らしく働く権利~ジェンダー平等社会を一緒に創ろう!~」でした。
1日目の記念講演:『「居場所」のない男、「時間」がない女』(講師:水無田気流氏)では日本人男性の「関係貧困」、日本人女性の「時間貧困」、男女ともに幸せになるために旧来の日本型分業を越えての3つについて話を聞きました。
日本社会のジェンダー不平等について、所得や社会的地位は男性偏重だが、日本は「男性天国」かと考えると自殺や孤独死、ホームレスは圧倒的に男性が多く、日本人男性は交友活動が突出して不活発で「世界一孤独」と言われています。
一方日本人女性は仕事(有償労働時間)と家事(無償労働時間)の総労働時間で見ると世界一多忙であり、睡眠時間も男性と比べて少ない状況です。
問題解決のためには「全方位的な就業環境の改善」「男女問わず総合的な働き方・暮らし方の見直しが必要」である事を学びました。

2日目の記念講演「職場におけるハラスメント ジェンダー平等を阻むもの」(講師:角田由紀子弁護士)では日本におけるセクシャルハラスメントの歴史、根絶のためにはジェンダー平等を求める事、法的対応の不十分さ等を学びました。
その後、分科会が開催され、福岡医療団からは8演題の発表を行いました。
私は今回、「事務制服廃止の取り組み~ジェンダー平等と多様性の実現を目指して~」というテーマで発表をさせていただきました。
来院された方はお気づきかもしれませんが、今年の10月より事務職員の制服が廃止され、私服(希望者は病院支給のポロシャツ)となりました。

事の発端は職員からの「性別関係なくパンツ、スカート、キュロットを選択できるように」という要望でした。その後、協議を重ねて今回の実施に至りました。
私服着用となった事で来院された方が職員かどうかの判別が難しくなる事が予想されたため、自ら挨拶、声かけをするよう呼びかけを行っています。
日本の企業で制服や服務規程におけるトランスジェンダーへの配慮に取り組んでいる所はわずか17.4%です。
日本では11人に1人がLGBTQと言われていて、その中でもトランスジェンダーの人は制服の強制力に苦しんでいる事が分かってきました。
ジェンダーフリー・多様性重視とは「男らしさ」「女らしさ」といった社会的、文化的な性差を無くしていこうという考え方であり、今回の取り組みは制服廃止という病院が全国的に見ても少ない中、大きく前進したと感じました。

宮崎へ向かう日は強風で、飛ばないだろうと思っていた飛行機に乗り、遊園地の絶叫アトラクションよりも怖い思いをしながら何とか無事に到着しました。
九州セミナーの現地開催は4年ぶりという事もあり、参加者も多く、盛況のうちに終了しました。コロナ禍以降、オンラインでの会議や研修が増えていますが、現地で顔と顔を合わせて行う方がやはり講師の方のお話が心に響きますし、分科会での発表後の意見交換も活発に行われていました。
観光する時間はありませんでしたが、せっかく宮崎に来たので、帰る日のお昼は空港で宮崎名物「辛麺」、食後のデザートとして「マンゴーソフトクリーム」を食べて宮崎を満喫しました。

事務職員が私服着用となった事で来院された方が戸惑う事のないよう、今以上に接遇力の向上に努めていきたいと思います。

 

千鳥橋病院 経理用度部 大森 優子